コスモス短歌会は昭和二十八年三月に宮柊二が創立しました。現在は、高野公彦を編集人とし、選者団、編集部、校正係、事務室の組織をもって、月間の短歌雑誌「コスモス」を発行しています。このコスモスの会員は全国各地に広がっていますので、どの地方にも支部や勉強会が置かれています。
 福岡支部はその一つで、福岡市で毎月一回の歌会を行い、年三回支部報「水城」を発行しています。

コスモス短歌会 福岡支部

更新情報:

2019.06.17
6月の歌会報告をアップしました。
2019.04.18
4月の歌会報告をトップページにアップしました。
2019.03.16
3月の歌会報告をアップしました。
2019.03.10
福岡支部ブログを更新しました。
2019.02.11
2019年講師出前歌会のお知らせ掲載
2019.02.03
短歌フェスタ福岡の募集をしています。
2019.02.03
デザインと内容を大幅に変更しました。
2019.01.31
ホームページが公開されました。

6月の歌会報告

 6月9日、アクロス福岡のセミナー室2でコスモス福岡支部歌会があった。選者は藤野早苗、大野英子、司会者は前半大西晶子、後半有川知津子。参加者は15名。最高得点歌は栗山由利の

〇薄物のシャツの裾からぬけてゆく五月の風はサイダーの色

 さわやかで、引っ掛かりのない歌。読みやすく文句をつけるところがない。色のない飲み物であるサイダーの色としたことで、さわやかなイメージが広がったうまい歌。初句を「うすものの」とひらがな表記すればさらに柔らかく良い歌になる。

 その他、いくつかの歌を掲げる。

〇手を述べてこづゑの新緑撮るひとのそのまま風にのつてゆきさう

 「延べて」と「こずゑ」の間違いがあり本人辞退となった歌だが、参加者のほとんどが点を入れたさわやかな歌。「手を延べて」で始まり、「風にのつてゆきさう」で終わるのはバランスが悪いという意見も出た。

〇尻を出しドアの隙間に潜みゐるゴキブリ目掛け殺虫剤を撃つ

 尻を出しがゴキブリの特徴となっていない。昆虫図鑑で調べるなどして、ゴキブリの尻の部分を何と呼ぶかを調べる方法もある。そうすれば、ゴキブリの特徴を面白く歌に詠むことができる。

〇わが暮らし寄せては帰す波のごと日々くり返す主婦業なりて

 主婦というのはこういうものだという思い込みがあり、そこで思考が停止している。自分が詠みたいことを一度散文にして、それを歌にしてみる作業が必要。「寄せては帰す」は返す。

 今回は、参加者が少なく時間があったので、選者が問題点を指摘し、それに基づいて作者が自ら添削するという作業をしてみた。ふたつ紹介する。

〇ベーラーが卵のごとく産み落とす麦わらロール飽きず見ており

 面白い景だが、産み落とすがあれば卵はいらず、飽かず見ておりで収めるのではなく、実感を入れるべき。その結果

〇ベーラーが産み落としゆくわらロールあまた転がる乾いた大地

 また、

〇きのふけふ手すりの端に啼き交はす二羽の鴉は身を近づけて

 昨日より今日近づくのか、手すりの端にそれぞれ居るのかはっきりしないぼやけた歌になっている。きちんと景が浮かぶ歌にすべき。その結果、

〇今日も来て手すりの上に啼き合ひぬ二羽の鴉はぴたり身をよせ

 この作業は好評であり、時間があれば行おうということになった。

5月の歌会報告

2019年5月11日歌会報告

開催日時は511()13時から17時。会場はJR博多シティ9階会議室4、参加者は30名。山口、北九州、佐賀、長崎、大分、熊本支部からも参加があった。

福岡支部の仲間の平川和子さんが急逝されたので、黙祷をささげて歌会を開始。出前講師は大松達知氏。司会は大野英子と、有川知津子。詠草ごとに参加者一人が選評をした後、大松氏がすべての詠草について評を行った。

大松氏が選んだ最高得点歌は、山口支部鈴木知登世さんの歌。

〇物干しにわかめ干されて海匂ふ浜の昼盛り たんぽぽと猫

  大松氏は冒頭に、短歌は「説明」ではなく「描写」をしなくてはならない。それはドラマの脚本を書くようなもので、自分が地球上にひとりしかいないことを示すものだと言われていた。この歌は、たんぽぽと猫でドラマが立ち上がるところが良い。物干しと干すが重なるので竹竿にぐらいにした方が良いだろう。

 次点は二首。まず、長崎の福盛静夫さんの歌

 〇かみさんをお前と呼びしことはなし無念なりけり六十年を

  「無念なりけり」と思い切った表現にしたことで、ドラマチックになった。

 次は、福岡支部池田毅の歌。

 〇売上は未だゼロなりゼロなれど三月あたま気張れ気張れ俺

  リズムがあって勢いのある歌。売上ゼロが良くわからないところもあるが、歌として面白い。

 大松氏の多くのアドバイスの中から印象深かったいくつかを紹介する。

〇車屋の油のにじむ太き手にバネ一つもち話の弾む

一首のなかで山は一つ。詰め込み過ぎてはいけない。この歌の場合「話の弾む」は蛇足。

〇肌へより沁みて渇けるこころにも届くかに春のコスメ数滴

まだ何々していないという表現は避け、きちんと動作が完了している表現にすべき。「届くかに」は「届く」とすべき。「渇けるこころ」もありきたりなので全体を動かすことになる。

 〇行儀よくカステラ食べたる若きらに社会の風の穏しくあれよ

短歌は少し毒があった方が良い。善人の歌より悪人の歌。「社会の風の穏しくあれよ」は「社会の風よ厳しく吹けよ」の方が良い。

〇すんすんと縄跳びをするをとこをり春ゆふぐれの外灯の下

歌はリズム7から8割、意味は半分。岡井隆は、「なるべく意味がない歌が良い」と言った。」意味を極限まで落として表現することが大事。「すんすんと」は意味がないがリズムを整えている。

その他にも短歌で短歌を詠むことについて詠うのは、短歌を詠まない人にとっては分からない歌となるからやめるべきなど多くの示唆に富む指摘があったが、長くなるので省略する。歌会の後、吉川宏志の『石蓮花』と飯田彩乃『リヴァーサイド』それぞれから10首づつ引用。一部を穴埋めにして解説をされた。一月に一冊づつ歌集を読めば歌が上手くなるとのこと。

  終了後、場所を移して懇親会。大いに盛り上がりを見せた。

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